#1 Weteam創業の原点

はじめに: 社会の「当たり前」をやさしさで塗り替える挑戦が生み出す「変容の物語」

「Weteamは単なるアプリではありません。それは、既存の価値観を問い直し、困難を抱える一人ひとりが尊厳を取り戻し、誰もが誰かの支えとなり、そして社会全体がより温かい場所へと進歩していくための、新しい『価値転換』を提案する生きたムーブメントそのものです。」

これは、Weteam創業者である僕の言葉です。このプロジェクトには、並々ならぬ情熱と、社会への深い洞察が込められています。連続起業家として数々の事業を成功に導き、NASDAQ上場企業のVPも経験した僕が、なぜ今、「先進国の貧困」という根深く、そして見過ごされがちな課題に挑むのか。幾度となく事業を立ち上げ、成功も失敗も重ねてきた僕が、なぜ今、この一見すると地味で困難な『先進国の貧困』という課題に人生を賭けるのか。その答えは、僕自身の魂を揺さぶるような経験と、社会に対する痛切なまでの問題意識の中にあります。Weteamは、僕自身の「変容の物語」であり、そしてこれから生まれるであろう無数の「変容の物語」を育むための「やさしさの連鎖」による社会変革への挑戦であり、誰もが支え合い、共に進歩できる『やさしさの経済圏』を築くための灯台です。

原体験と課題意識: 声なき「困りごと」と、痛みを伴う経験から得た洞察

僕の社会課題への関心は、幼少期に遡ります。ナイジェリアで育ち、母親と共に現地の困っている人々への寄付活動に参加していました。これが、初めて「寄付者」として他者の困難に触れた最初の原体験です。

時を経て、事業家として一定の成功を収めた後、僕にとって次なる原体験が訪れます。周囲の友人たちが次々と倒産したり、予期せぬ事態でお金に困窮したりする姿を目の当たりにしたのです。その際、僕は彼らが再び社会で輝けるようにと金銭的な支援を行いましたが、当時は彼らが抱える問題の表面しか見えておらず、真の「困っているコト」の根源や、それがもたらす心理的な影響の深さまでは気づけていませんでした。今思えば、その支援はどこか傲慢で、相手にもそう映っていたかもしれません。

そして、まるで点と点が繋がるように、僕自身にも大きな転機が訪れます。年商数十億円あった会社が突如として崩壊し、奈落の底に突き落とされたような絶望感を味わいました。眠れない夜が続き、鏡に映る自分の姿さえ信じられないほどでした。誰にも理解されない焼け付くような孤独感、明日を生きる希望さえ見失いそうになる日々。社会の歯車から弾き出されたような感覚に、ただ打ちひしがれるばかりでした。社会への不信と怒り、無力感が渦巻く中で、僕は全てを失い無一文になりました。全てを失い、深い絶望の淵にいた僕に、それでもいくつかの温かい手が差し伸べられました。そして、心の奥底に眠っていた『それでもまだ何かできるはずだ』という小さな、しかし確かな光を見出したのです。それは、お金では測れない人の繋がりの温かさ、そして困難の底で初めて気づく自分自身の内なる力でした。この経験は、経済的な困窮だけでなく、社会からの孤立感や時に心無い差別といった、お金だけでは解決できない困難を伴うものでした。この経験が、僕に「成功」だけでは見えない社会の側面と、困難な状況に置かれた人々の真のニーズ、そして何よりもその痛みを、身をもって理解する機会を与えてくれました。この僕自身の痛みこそが、Weteam創業の大きな動機へと繋がったのです。

日本には相対的貧困層が2,000万人存在し、6割以上の人々が生活の苦しさを感じています。その困難は経済的な問題に留まらず、心理的な孤立や自己肯定感の喪失にまで及ぶことを、僕自身の経験も痛切に物語っていました。

既存の支援は時に断片的で、本当に助けを必要とする人に届きにくいのではないか。また、「支援する側とされる側」という固定観念や「貢献は特別なこと」という価値観が、人々の自発的な行動や共感を阻害しているのではないか。この疑問は、僕自身の「当事者」としてのたたき経験、幼少期の純粋な想い、そして目の当たりにした友人たちの苦境と自分の支援の限界から生まれたWeteamの原点です。

創業当初、数百人以上の方々にインタビューを重ね、僕自身と皆が感じる痛みの焦点を合わせることに没頭しました。そこで明らかになったのは、経済的な問題以上に根深い「誰にも必要とされていない」という孤独感や「社会の役に立てない」という無力感でした。「もう一度誰かの役に立ちたいが、何から始めればいいかわからない」という元経営者の声。「病気で働けず、社会との繋がりが途絶えた」と涙ながらに語る若い女性の姿。これらは僕自身の経験と重なり、胸を締め付けられました。支援を受けることへのためらいや、レッテルへの恐れも根強くありました。

しかし、この痛みの共有の先に見えてきたのは「変容の可能性」です。僕自身が経営の失敗という困難から新たな使命を見出したように、困難な状況にある人々もまた、その経験を通じて成長し、他者を照らす力を持つ存在へと変われる。彼らの声にならない孤独感や無力感、ためらいや恐れ一つひとつが、Weteamの『誰もが安心して自己開示でき、小さな一歩が称賛され、具体的な貢献を通じて再び社会と繋がれる場』という設計思想の礎となりました。Weteamは、一人ひとりの「変容の物語」を後押しし、誰もが誰かの希望となり得る社会を実現するプラットフォームなのだと確信したのです。

だからこそ僕は、困難を抱える人々を「支援されるだけの存在」ではなく、その経験や勇気、困難を乗り越えようとする力自体が社会に新しい価値を与える「価値ある存在」だと捉え直しました。ナイジェリアで見た人々の逞しさ、自身が困難の中で感じた無力感と一筋の光。これらの経験が、『困難』と『人』の可能性への見方を変えたのです。誰もが内に秘めた強さと分ち合える何かを持っている。金銭や専門スキルだけでなく、日常の「なにげないやさしさ」や「勇気ある一歩」こそが尊い貢献であるという新しい価値観。これこそが、Weteamが目指す「やさしさの経済圏」の核心であり、僕が人生を賭けて実現したい世界です。

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